利上げの思惑 2015 11 8

書名 世界経済の破断界 World Economy at Breaking Point
書名 若林 栄四  ビジネス社

 アメリカの景気は、よくありません。
確かに、富裕層の景気は、好景気と言えますが、
中間層の景気や庶民の景気は、よくないと言えるでしょう。
 それでも、FRBは、利上げを目指しています。
その理由は、次なる危機に備えて、
利上げをしておきたいというところでしょう。
 私は、何度か書いていますが、
アメリカの景気対策は、「バブル・リレー」でした。
 「ITバブル」が崩壊した後は、
「不動産バブル」や「証券化バブル」で乗り切りました。
 しかし、それが「リーマン・ショック」で崩壊した後は、
金融緩和(量的緩和 Quantitative Easing)という「QEバブル」で乗り切っています。
(さすがに、「QEバブル」の次のバブルは、思いつきません)
 過去のバブルと違って、
今回の「QEバブル」は、FRBがバブル崩壊の引き金を引くことになります。
 もちろん、過去のバブルと違って、
それほど影響は大きくないという見方もあります。
 「QEバブル」においては、
量的緩和による資金が、融資や事業に回らず、
株式市場に直行してしまったと考えれば、
実体経済に、それほど影響はないという希望的観測もあるでしょう。
 さらに、利上げによって、ドル高になり、
ドル高がインフレ防止になり、
そのうえ、結果的にアメリカ国債の魅力が増すという可能性があります。
 一方、利上げを政治的に考える人たちがいます。
アメリカの利上げは、新興国に大きな打撃を与えます。
 世界の多くの国は、アメリカを裏切って、
中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加してしまったのです。
 そこで、アメリカとしては、威信をかけて報復をしたい。
そのため、利上げという「金融兵器」を使いたいという見方もあります。
 もちろん、「トロイの木馬」という役割を果たすために、
あえてAIIBに参加した国もありますので、
そういう国には、何らかの配慮をする必要があります。
 このように、アメリカの利上げには、
いろいろな思惑が渦巻いていて、どれか真相なのか、わかりにくいでしょう。

2015年10月2日の産経ニュースWeb版では、このような記事がありました。

中国や韓国など新興国の企業の借金2,000兆円 アメリカ利上げで破綻ラッシュの恐れ IMF警告

 中国やトルコ、チリ、韓国など主要な新興国の企業の借金が、
10年間で4.5倍にまでふくれあがっていることが、
国際通貨基金(IMF)のリポートで明らかになった。
 アメリカが利上げに踏み切れば、
借金を返せず破綻ラッシュとなる恐れがあるとIMFは警告している。
(中略)
 巨額の借金を抱える企業のとどめとなりかねないのが、アメリカの利上げだ。
アメリカが事実上のゼロ金利を解除すれば、
新興国に流入していた資金がアメリカに還流し、
ドル高が加速する半面、新興国通貨が暴落する公算が大きい。
 IMFは「新興国通貨の下落によって、
外貨建ての借金が相対的に膨らみ、返済がますます難しくなる」と指摘したうえで、
新興国の当局者に、企業の経営悪化や破綻に備えておくよう要請。
「必要ならば破綻処理の制度を改革すべきだ」と訴えている。
(引用、以上)





























































































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